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西田一豊氏の福永武彦研究

 昨日,平成29年4月29日(土)付『日経新聞』朝刊の文化欄に,「福永武彦 新たな一面」という大きな記事が掲載されました。「愛と孤独の作家 復刊相次ぐ」「先駆性や大衆性に光」と見出があり,一時は絶版ばかりで作品が手に入りにくい状態であった作家の福永武彦(1918-1979)への関心が高まり,研究も進んでいる様子を伝えています。御子息である作家の池澤夏樹氏の談話が掲載されているのは当然かと思いましたが,嬉しい驚きであったのは,最新の福永武彦研究について,千葉大学人文科学研究院特任研究員の西田一豊氏が専門家として取材を受けていることでした。我が大学院の修了生の方々が評価を受け,活躍されるのを目にするのは喜びに堪えません。
 若手研究者の皆さんがなかなか高等教育機関にポストを得られず,苦労しておられるのは大きな社会問題になっており,このままでは日本の学問研究の将来が危ぶまれるところです。西田さんたち若手研究者の皆さんが,その苦しい状況の中でも志を失わず,こつこつと研究を続けておられるのは,本当に頭が下がります。
 もうすぐ西田氏の研究成果がまとまるそうですが,それは個人的にとても関心があります。私自身が高校の頃から,茨木のり子と辻邦生と並び,福永武彦の愛読者だからです。新潮文庫の『加田伶太郎全集』も持っていて,今でも時々読み返します。講談社文庫の『夜の三部作』も持っていたのですが,友人に貸したまま戻って来ません。後者を読んだ直後に書いた当時の日記など,福永の文体を下手くそに真似てあり,読み返して我ながら恥ずかしかったものです。だからその日記はとっくに捨ててしまいました。
 あの時期,福永などを読んでいると(辻や茨木の場合もそうだし,他にも好きだった『更級日記』でも言われました),やれ「少女趣味」だの,「女子高生が読むもん」だのと悪罵を浴びたものです。このような発言をした人々も現在あちこちで教職についていますが,今でも女性の前であんなことを言ってるのでしょうか。器用に宗旨替えしたのでしょうか。したでしょうね。
 ささやかながらこういう経験をしているので,ますます西田さんの研究は心に染みるのです。ろくに力になれず申し訳ないのですが,西田さんのますますのご活躍を期待しています。