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研究プロジェクト登録

人文社会科学研究科・人文公共学府の後期課程に在学中の皆さん

 センター主催型の研究プロジェクト登録が明日までです。本年度は以下のプロジェクトが計画されています。

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 研究会の運営など,研究活動の社会性・実践性を養う目的で本大学院で授業の一部として位置付けているものですが,単位を既に修得した院生の方も,業績発表の機会が増えますので,博士論文執筆の妨げにならない範囲で,ぜひ登録・参加して下さい。
 本当はここで,私自身が参加している「教育・学修支援研究センター」主催の「高等教養教育研究」プロジェクトについて宣伝したいところですが,立場を利用していると思われてもいけませんから,慎むことに致します。

ムクドリの巣

 春になると,特別な客が押しかけてきて,勝手に長逗留していきます。ーーー換気口にムクドリが巣を作って子育てをするのです。

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 天井裏の奥深くまで入り込み,不潔にされて虫が湧くのも心配だし,そもそも朝の鳴き声の大きさと言ったら大変です。
 脚立やハシゴも届かないような所なので,最初はホースで水などかけていたのですが,ぱっと逃げるのもつかの間で,こっちの追い立てに腰が入っていないことなど直ぐに見透かされ、直ぐに戻って来て何食わぬ顔で逗留を続けます。

 腕力や強引な押しに弱く,こうやって何時も舐められ,押し切られます。味方にとっては頼りにならず,敵にとっては嬉しい存在でしょう。「長」など務まる人間ではないのです。小鳥にも舐められながら,この子達としばらく暮らすのも悪くはないかなどと腹の中で早々に諦めてしまう人間です。そのことを,毎春この時期に,ムクドリたちが教えてくれます。他の人たちも教えてくれようとずらっと門前に並ぶありさまですが,どうせ教えて貰うなら,ムクドリや学生達からにしましょう。

 いらっしゃい,ありがとう,あなたたち。

インターネットの語学教材

 ようやく授業始まって一週間経ちました。新制度のことで,一生懸命準備したつもりだったのですが,一部混乱が生じてしまいました。ガイダンスの修正については一斉メールでお知らせした通りですが,来週水曜日,新入生の皆さんが集まる時間に私が直接説明と確認に参ります。

 文学部の方で開講したラテン語入門にも,サンスクリット語入門にも,50名ほどの学生が集まってくれたので,こちらも慌てて広い教室に変更する騒ぎでした。
 
 あちこちで紹介しているのですが,古典語関係はテクスト自体も古いものだし,定評ある辞書も文法書も注釈書も100年くらい前のものが多いので,インターネット上で自由に閲覧し,利用することが可能になっています。一般に多くの優れた語学教材がインターネット上にフリーで公開され,資金や時間的余裕に乏しくても,相当高度な内容まで諸外国語を自習することが可能になりました。
 私自身が学生の頃のことを思い出すと,感無量です。図書館にもあまりないような古典語関係の辞書・文法書はとても高額で,お金を貯めてはやっと1冊ずつ手に入れていくのですが,個人の力を超えたような書物(Du Cange や Böhtlingk など)は,ため息を吐いて諦めるしかありませんでした。重たい辞書を旅行バッグに入れて持ち運ぶのは大変でした。手に入れた後も,狭い部屋には置き場所も満足にありません。
 それが今では全てフリーで手に入れられ,薄いiPadにすっかり収まり,簡単に持ち運べるというのですから!

 新入生の皆さんに,学修の助けになるサイトを紹介しておきます。特にフリーの電子辞書ソフトである EPWING はお勧めです。PDF版より当然はるかに使い出が良いものです。
 質が高く良心的な書評サイト「読書猿」も是非利用してください。
 私一人では探しきれません。他の先生方・上級生の皆さんがもっと詳しい情報を知っているだろうから,どんどん質問に行ってください。


ドイツ語辞書ネット(グリムの辞典やベネッケ・ミュラー・ツァルンケの中高ドイツ語辞典,様々の方言辞典など独独辞典を集めたサイトです。):http://woerterbuchnetz.de/

「読書猿」から:ここまでできる→ネットで無料で読める世界の語学教科書(古典語篇):http://readingmonkey.blog45.fc2.com/blog-entry-565.html

「読書猿」から:無料で学べる多言語学習のための教材と素材をまとめてみた:http://readingmonkey.blog45.fc2.com/blog-entry-691.html

「読書猿」から:自宅でここまでできる→日本史史料の探し方/集め方:http://readingmonkey.blog45.fc2.com/blog-entry-529.html?all

EPWINGの古典語のサイト:EPWING for the classics:http://classicalepwing.osdn.jp/

EPWINGの近代語のサイト:Project Zephyr:http://projectzephyr.osdn.jp/index.html

サンスクリット語関係のみの語学教材を集めたケルン大学のサイトです。:http://www.sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/

入学式・看板上掲式

 本日は午前中,千葉のポートアリーナで千葉大学大学院の入学式でした。人文公共学府一期生の皆さん,ご入学おめでとうございます。
 また4時からは,学長と理事の方々においでいただき,人文公共学府「看板上掲式」がありました。なかなか経験できるものではありません。皆様のおかげで改組を行えただけでなく,得難い経験もさせていただくことになりました。お忙しいところ,皆さんありがとうございました。
         

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よろしくお願いいたします。

 本日より千葉大学大学院人文社会科学研究科が改組となり,千葉大学大学院人文公共学府が開設されます。これから2年間,新学府の学府長をつとめます石井正人です。よろしくお願いいたします。

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 旧研究科は募集停止となりますが,在学生がいる間は存続するので,しばらくの間,旧研究科と新学府が併存します。新入生の皆さんにも,在学生の皆さんにもご迷惑をお掛けすることがないよう,精一杯つとめますので,御理解と御協力を賜りますようお願いいたします。

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お世話になりました

 何度かご報告しましたが,明日2017年4月1日より,大学院人文社会科学研究科は改組となり,人文公共学府となります。旧研究科の方は募集停止になりますが,在学生がいる限り存続し,しばらくの間は併存します。新入生の皆さんにも,在学生の皆さんにも,色々ご不便をおかけすることになるかもしれませんが,お許しください。
 人文社会科学研究科長を2年つとめましたが,人文公共学府長をもう2年つとめることになりました。今後ともよろしくお願いいたします。

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ディルンドル

 修了生が去ってしまった研究室は本当に寂しく,当分慣れません。
 
 修了・引っ越しと忙しいので,毎年修了生たちは始末に困り,「何か」を研究室に残していきます。自分で捨てたくもないが,新生活に持って行くわけにもいかない,そういう雑多なものです。こちらも勝手に捨てることができず,何だか得体の知れないものが研究室に増えていくのです。
 これなどは,南ドイツ・バイエルン地方の民族衣装 Dirndl (ディアンドル,という風にカナ書きされることが多いようです)ですが,確かにとても可愛らしいもので,私自身娘たちが小さかった時に,思わず子供用のこれを何着も買ってしまった覚えがあります。オクトーバーフェストといえばこれでしょう,そんな気になるのもわかります。
 だから院生が思わず買ってしまった気持ちもよく理解できるのだけれど,置いて行かれると,とても困るんだけど。どうすれば良いの。

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2018年度大学院修了式

 本日,千葉県文化会館にて平成28年度千葉大学大学院修了式が行われました。昨日の学部卒業式に続き,900人を超える修了生が旅立っていきました。内部進学してまた明日から続けて学園生活を共に出来る院生もいますが,手の届かないところに去って行く修了生もいます。喜びと誇りに満たされると同時に,襲ってくる強烈な寂しさには,何年何回この卒業・修了の節目を繰り返しても,慣れることがありません。教員という職業が幸せすぎるので,こうして毎年罰が当たり,中和されているかのようです。

 さようなら,みなさん,お元気で。

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http://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/info/post_227.html

https://twitter.com/Chiba_Univ_PR/status/845205337388924929

いつもお花をありがとう

 文学部棟の一階エントランスに,いつも事務の方がきれいなお花を飾ってくださいます。構内の花を上手に使う時もありますが、良い花のない時には寄付してくださっているようです。美しいお心遣い,本当にありがとうございます。
 それより問題なのは,私の写真の下手さです。

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セミとキリギリス

 現代日本文化がどのように翻訳紹介され,国際的に受容されているのかについて,昔とは比べ物にならないくらい質量ともに向上した日本現代文化の翻訳,現代小説やマンガやアニメ等の英訳・ドイツ語訳・フランス語訳・中国語訳などを日本語原文と比較して精密に分析する研究分野が大きく発展しています。
 この分野で研究を続けている院生さんが,奇妙な「誤訳」に突き当たりました。奇妙な意訳や誤訳はそれこそ山のようにあり,そこにかえって現代日本文化の海外発信が持つ本質的な可能性や問題性が明らかになっている場合がよくあります。しかしこの院生さんが遭遇した「誤訳」は,研究者にとっては背景が明らか過ぎるという点で,かえって奇妙なものでした。
 あるマンガにあった「セミ」という語が,ドイツ語で「Grille (コオロギ、キリギリス)」と翻訳されていたのです。「セミ」を「キリギリス」と意訳するというのは,これはもう,比較文化・文化伝承・翻訳の研究の分野では基礎中の基礎の事例です。1970年代に小堀桂一郎が『イソップ寓話 その伝承と変容』で明らかにした問題です。この名著はその当時中公新書でしたが,今は講談社学術文庫に入っています。イソップ寓話発祥の地ギリシャのような南ヨーロッパではセミは珍しくない生物だが,北ヨーロッパにはほとんど生息しておらず,なじみがありません。そのため,ラ・フォンテーヌがイソップ寓話を翻案する際に,セミを,北ヨーロッパの読者にもなじみ深いキリギリスに意訳したのでした。これをさらにディズニーがアニメ映画にしているので,世界中に定着してしまいました。ある日本の新聞が「アリとセミ」と書いたら,「アリとキリギリス」の間違いだろう、怪しからん、という読者からの抗議が殺到した,というエピソードを聞いたことがあります。
 この伝承研究があまりにも有名なので,つい当たり前で,誰でも知っているような気になります。しかしこのイソップ寓話の伝承と変容が,こちらのマンガの「誤訳」にも影響していると言えるでしょうか。試しに日本語の堪能な若いドイツ人に聞いてみたところ,なぜ日本語の「セミ」が「コオロギ(キリギリス)」とドイツ誤訳されているのか,全く分からない,ということでした。
ここで今院生さんが四苦八苦しているところです。
 以下この院生さんの中間報告です。
 傍証ですが,ドイツ語でコオロギ(キリギリス)の鳴き声などを表す zirpen という動詞があります。これがいくつかの独独辞典で「セミやコオロギの鳴き声を表す」と説明されています。なぜこんな説明をしているのかと不思議になり,辞書の辞書である Grimm の大辞典を調べたところ,1)コオロギやセミの鳴き声,2)小鳥の鳴き声,3)ネズミの鳴き声等とありました。どうもグリム大辞典が典拠となり,あちこちの辞典に引き写されていった様子です。
 辞典によくあるのですが,実物に直接当たらず,別の辞書を引き移していくために,誤解が広がったりするのです。面白おかしいエピソードに事欠きません。
 セミがコオロギ(キリギリス)と意訳されるには,されるだけの背景があったということらしい。この奇妙な「誤訳」の背景には,生物の鳴き声,特に「虫の声」に対する,日独のこれだけの感受性・文化的蓄積の差があるようです。

 それにしても,一体ドイツ人には zirpen どんな音で聞こえているのでしょうか?分かりますか?
 こういうことを調べ,考えていくことこそ文化伝承・翻訳・国際理解研究の醍醐味であり,こたえられない味わいだということは分かりますが,zirpen を実感的に理解することはなかなか困難です。いずれこの院生さんが,このテーマで面白い論文をまとめてくれるのを楽しみに待つことにいたします。

※セミをコオロギにしたのは,ラ・フォンテーヌよりイギリスのシュタインヘーヴェルの方が先だとか,院生さんからうるさい訂正が入っていますが,まああらあら上のようなことです。